Naoka Aoki (violin) , Jano Lisboa (viola) , Wen-Xin Yang (cello) by Dohnányi, Ernst Von, Kodály, Mozart, Aπό (2023/2023), Tokyo Bunka Kaikan, Tokyo, Japan

ドホナーニ：セレナーデ ハ長調 　名指揮者クリストフ・フォン・ドホナーニの祖父にあたるエルンスト・フォン・ドホナーニ（1877-1960）は、基本的に独墺系ロマン主義を継承したハンガリーの作曲家。1902年に作曲されたこの「セレナーデ」も、古典的で明朗な構成や楽想をベースに母国の民族色を織り交ぜている。 コダーイ：ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 　ドホナーニと交友のあったゾルタン・コダーイ（1882-1967）は、盟友バルトークとともにハンガリーの民謡の収集・研究を熱心に行なったことや、「コダーイ・メソッド」を確立した教育者として知られている。音楽的には、バルトークのように先鋭的な地平を開拓したわけではなかったが、今日でも取り上げられる重要な作品も残した。その一つが、1918年に初演された「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」。この頃のコダーイの室内楽曲は、ハンガリーの民族的要素と西洋的なスタイルを融合した作風が確立され、新鮮な音楽の息吹に満ちている。3楽章構成で、2つの楽器によるシャープかつワイルドなやり取りのなかに濃厚な民族性が漂っている。 モーツァルト：ディヴェルティメント 変ホ長調 　「ディヴェルティメント」というジャンルは「嬉遊曲」と訳されるように、社交の場における“気晴らし”のための音楽だった。モーツァルト（1756-91）が1788年、ウィーンの商人で友人でもあったプフベルクの依頼を受けて作曲した本作は、モーツァルトらしい筆致が冴えわたり、内容・規模ともに弦楽三重奏曲の屈指の名品に数えられている。全6楽章からなり、密度の高いソナタ形式のアレグロに始まって、第4楽章アンダンテには多彩に展開する変奏曲、フィナーレには長大かつ快速なアレグロ、そしてそのあいだに天上的なアダージョやお馴染みのメヌエットが配されている。たった3つの弦楽器からモーツァルトの魅力がほとばしり出る音楽である。